ハナビラタケ (MH-3株)

知る人ぞ知る「幻のキノコ」
 
 抗腫瘍効果(抗がん作用)の最大のカギをにぎる成分といえば、βグルカンです。
その総βグルカンを、ブラジル産アガリクスの約3倍以上も含むキノコが、ここで紹介する
「ハナビラタケ」で、これこそ究極のキノコといえます。
 独特な歯触りと香りがあって、知る人ぞ知るキノコ。登山愛好家の間では、
「幻のキノコ」といわれるほど、なかなか山中を歩いても巡り会えないキノコとしても有名です。
 ハナビラタケはハナビラタケ科のキノコで、子実体はサンゴ
状またはハボタン状をしていて、世界に1科1属2種、日本に
は1種だけが知られています。英語名は「カリフラワーマッシュルーム」
と呼ばれています。
日本で見られるハナビラタケ(Sparassis Crispa) は、夏から秋にかけて
亜高山帯に自生しており、おもに北海道から関東地方にかけて分布しています。
 ツガ・モミ・マツなどの針葉樹の切り株や枯れた樹木などの根元に良く見られますが、まれにブナやシイといった広葉樹にも見られます。
 ハナビラタケの色合いは、全体的に淡黄色から白色で、柄の厚さは
1ミリ程度で平たく、いくつにも枝分かれしていて、枝の先はハナビラのようにくねくねしているのが特徴です。
 全体は直径が20cm〜40cmぐらいの半球状をした塊で、高さは10〜30センチぐらいあります。
 食べると歯ざわりがよく、クセのない風味で、ほのかにマツタケのような香りがして、山登りする人たちには人気のあるキノコです。
 ただ、自然に生える量が比較的少ないため、一般にはそれほど知られていないキノコで、いわば「幻のキノコ」でもありました。似たような形の毒キノコが他にないため、簡単にハナビラタケと分かることもあって、安心して食べられます。
 漢方薬の専門家に調査していただいたところ、中国大陸・韓国・台湾では見つかっていないということです。インターネットで調べてみたところ、アメリカで1例報国があった程度です。
 北米では、カラマツやアカマツの若木にハナビラタケができると、樹木は褐色となって、やがて腐り始めるそうです。
 更にその樹木の栄養分を貪欲に吸収してしまうため、森林を管理している人たちにとっては、大変厄介なキノコということです。
高山帯に自生するハナビラタケ
ついに人工栽培に成功!
 
ハナビラタケを自然から採るには、量的に限られていますので、当然、人工栽培に目が向けられます。
 そこで、キノコ栽培業者や菌類学者、その他多くの研究者が、ハナビラタケの人工栽培に着手したのです。しかし、天然のものをそう簡単に作り出すことは容易なことではなく、彼らの前にさまざまな障害が立ちはだかりました。
 培地の成分や温度・光・通気性などの自然条件、更に各種のカビなどが、研究の行く手をふさぎました。 
 たとえば、大腸菌などの細菌類には非常に耐性を示しますが、青カビに対しては弱いという、他のキノコにはない性質があったのです。
 この難問に果敢に挑戦したのが、埼玉県立熊谷農業高等学校の福島隆一先生でした。
 マイタケやアガリクスのように、人工栽培が簡単に出来ません。ハナビラタケは非常にデリケートなキノコで、ちょっとでも自然条件と異なると、なかなか育ってくれないのです。
 福島先生は、生徒達の協力を得ながら失敗に失敗を重ね、苦節10年余にして、ついに菌の選別・おがくず培地選定・温度・湿度・などの自然環境作りに成功し、人工栽培を成し遂げたのです。
 「キノコのことはキノコに聞け」をねばり強く実践し、1997年の夏、人工栽培によるハナビラタケの第一号が作り出されました。
 その年、全国コンクールで研究発表をおこなって、みごと優勝。その様子が、テレビや新聞で大きく報道され、話題となりました。
 『分析試験成績書』には、ハナビラタケのβーグルカンの含有量が、
100g中43・6gと記されていました。
この数値はとても信じられないものでした。これはきっと何かの間違いに違いないと思い、早速、日本食品分析センターに電話を入れました。
 「β-グルカンの含有量が43.6gとありますが、計測に誤りがあるのではないでしょうか。何かの間違いかと思いますので、もう一度、測定をしなおしてみてください。」 
 私は半信半疑のまま受話器をにぎりしめていました。
 「ええ、こちらも測定には慎重を期してやりました。標準の酵素法を用いて、何回もやり直しましたから、この数値で間違いはないと思います。また、検体は保存してありますので、再試験をしても同様の数値が出るはずです。」受話器を置いても、なお信じられない気持ちでした。β-グルカンが少し入っておればいいとは思っていましたが、それがアガリクスに含まれている量の3倍以上なんて、全く考えていなかったからです。
 なんとハナビラタケの半分近くがβ-グルカンだったのです。
β-グルカンが多いとされているブラジル産のアガリクスでさえ、100g中11.6gですから、驚きです。まさに《幻のキノコ》ハナビラタケ実在したのです。
 ちなみに、他のキノコの含有量をみますと、制がん効果があるといわれるマイタケでは15〜20g、霊芝では8〜15g、アワビタケでは7〜12gという報告があります。
 いかにハナビラタケに含まれるβ-グルカンが多いかがお分かりいただけると思います。
科学技術振興事業団の「独創的研究成果育成事業」に選定される

埼玉県立農業高等学校の福島隆一先生が中心となっておこなわれたハナビラタケの人工栽培は、その独創的な研究成果ということで高い評価を得ることになりました。 科学技術復興事業団では、平成10年度の「独創的研究成果育成事業として、《ハナビラタケも経済的実用化栽培方法並びに並びに一般嗜好品と有用食品の試作」を採択しました。 独創的研究成果育成事業というのは、大学や国立公立機関の研究成果を、研究開発型の中堅・中小企業と協力の上で、試作品製作などを具体化させ、その後の委託開発制度などに結びつけるのが主な目的です。これは、いろいろな研究機関で開発されたすばらしい研究が、装置や人員に多大な費用がかかって、頓挫することがなく、研究開発が続けられるようにした制度です。そのために、当然審査は厳しく、採択されるtことが全ての研究者にとって夢といっても過言ではないのです。つまり、独創的で将来性のある研究に対して、科学技術振興事業団から「モデル化資金を出しますから,本格的開発に乗り出してください」と、技術と研究が認められたわけです。
 ハナビラタケの人工栽培に初めて成功してから、わずか6ヶ月しかたっていませんでしたが、それだけ今回は各界から高い評価と注目を集めた研究開発だったといえます。 この研究は、平成10年10月1日から、翌年の3月20日まで実施されました。栽培技術と生産能力は一段と進んで、ハナビラタケの人工栽培が世界で始めて確立できたのです。 また、新しい研究室の完成によって、ハナビラタケの人工栽培も飛躍的に進み、大量生産も可能になりました
抗ガン成分はβ(1-3)Dグルカン

キノコに抗ガン作用があることは、漢方薬としてのキノコにおいて、昔から中国ではよく知られていたことです。 ただ、キノコの成分の何に抗ガンさようがあるのかが究明されたのは、20世紀に入ってからで、グルカンにそのなぞが隠されていました。 グルカンといえば、アミロス・グルコーゲン・デキストラン・セルロースなどがその代表です。
 グルカンは大きく分けると、αとβに分けられ、デンプンやデキストリンなどはαグルカンです。一方、βグルカンの方はいくつか種類があって、β(1-3)、
β(1-6)、β(1-4)などがあります。
 β(1-4)グルカンというのはセルロース(紙)のことです。自然界にある菌類には、抗ガン作用があまりないβ(1-6)グルカンも多いです。
 では、抗ガンさようがあるのはβ-グルカンのどの型かというと、それが『β(1-3)D-グルカン』であることが、最も新しい研究で明らかにされたのです。
β-グルカンとは
セルロース
デンプン、デキストランなど
酵母様真菌の細胞壁βグルカンの基本構造
直鎖
1→3直鎖
つづく